「
株式後悔~後悔せずに株式公開する方法~
」を読みました。
会社が新規に上場する株式公開(IPO)の際には、当該会社だけでなく、
非常に多くの関係者が関わることになります。
この本では監査法人を始めとして、証券取引所、証券会社、弁護士、
VCなど多くの関係者が著者として参加しており、一つの事象に対して
各自がそれぞれの立場・視点から、本音の意見を述べています。
株式公開関連の書籍は世の中でもそれなりに出版されていますが、
その内容はどうしても固い話や正論が中心になってしまいがちです。
それに対して、この本には関係者の本音が詰まっており、会社や
関係者の考え方・利害が対立するリアルな世界が分かります。
内容としては、IPO準備の過程で起きる問題点などが事例として
取り上げられ、「会社対取引所」、「会社対VC」といったように
登場人物の対話形式を中心に話が進んでいくため、読みやすい
構成になっています。
会社と会計士のやり取りのページなどは、監査論などの理論とは
異なる、まさに現場の実務の様子が描かれています。
会計士受験生や監査業界に興味のある方にとっては、監査業界の
仕事や現場のイメージが沸きやすいのではないでしょうか。
世間で「公認会計士に大事な要素はコミュニケーション能力」と
言われる理由もなんとなく理解できるはずです。
ちなみに、著者である「チームIPO」という勉強会メンバーの中に
知り合いがいるのですが、先日話をしたところ、予想に反して
この本の売れ行きが良いと言っていました。
日本でのIPOの低迷が続いているこのご時世ですから、株式公開
関連の書籍は出版することも難しい状況のはずなのですが、
この本が売れているというのは分かる気がします。
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